この度、光ミュージアムでは開館15年を記念し、特別展「上村松園と清方・深水展」を開催致します。 明治時代以降、日本画のジャンルの一つとして確立した「美人画」。本展では近代日本を代表する美人画家 上村松園、鏑木清方、伊東深水の魅力に迫ります。 研究者にも存在が知られていなかった幻の作品『紫式部図』を始め、松園10点、清方15点、深水6点は全て当館のコレクションです。 この機会にぜひ、清らかで気品に満ちた美人画の秀作をご堪能下さい。
作品名 | 作家名 | 年代 |
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四季美人図 Beauties of the Four Stages of Life |
上村松園 | 明治25年 Meiji period, 1892 |
三美人之図 Three Beauties |
上村松園 | 明治41年 Meiji period, 1908 |
晴れ間 Fine Interval |
上村松園 | 昭和14~15年頃 Showa period, ca.1939-40 |
美人納涼図 Beauty Enjoying the Evening Cool |
上村松園 | 大正時代 Taisho period |
わか葉頃 At the Time of Fresh Leaves in Spring |
上村松園 | 昭和14年頃 Showa period, ca.1939 |
美人之図 A Beauty |
上村松園 | 昭和12年 Showa period, 1937 |
夏の夜図 A Summer Night |
上村松園 | |
木陰唐子 Chinese Children under a Tree |
上村松園 | |
夏の美人 A Summer Beauty |
上村松園 | |
紫式部図 Lady Murasaki Shikibu |
上村松園 | 大正4~昭和4年頃 Taisho or Showa period, ca.1915-29 |
権八小紫 Gonpachi and Komurasaki |
鏑木清方 | 昭和初期 Early Showa period, ca.1926-35 |
神田祭 Kanda Festival |
鏑木清方 | 昭和10~15年頃 Showa period, ca.1935-40 |
お稽古 Lesson Accomplishment |
鏑木清方 | 昭和4年 Showa period, 1929 |
花の山 Beauty with Mountain Covered with Cherry Trees in Bloom |
鏑木清方 | 昭和初期 Early Showa period, ca.1926-35 |
夏姿 Summer Style |
鏑木清方 | 昭和15年 Showa period, 1940 |
紅葉 Maple Leaves |
鏑木清方 | 昭和22年頃 Showa period, ca.1947 |
今様浅妻船 Beauty in a Ferryboat |
鏑木清方 | 昭和13年頃 Showa period, ca.1938 |
娘道成寺 | 鏑木清方 | 昭和元年 1926年 |
棗の葉かげ Under the Leaves of Jujube |
鏑木清方 | 昭和38年頃 Showa period, ca.1963 |
葛飾早春 | 鏑木清方 | |
卯月の装 Deckde in Kimono for April |
鏑木清方 | 昭和31年 Showa period, 1956 |
立田の錦 | 鏑木清方 | |
こころのふるさと江戸十二ヶ月 | 鏑木清方 | 昭和25年 Showa period, 1950 |
行水 | 鏑木清方 | |
深川冬木 池畔の雨 | 鏑木清方 | 昭和3年 Showa period, 1928 |
五月晴 | 鏑木清方 | 昭和24年5月 Showa period, 1949 |
晴日 Fine Weather |
伊東深水 | 昭和16年~17年 Showa period, 1941-42 |
雪うさぎ | 伊東深水 | 昭和初期 Early Showa period, ca.1926-35 |
御点前 The Tea Ceremony |
伊東深水 | 昭和41年頃 Showa period, ca.1966 |
御点前 The Tea Ceremony |
伊東深水 | 昭和30年頃 Showa period, ca.1955 |
秋晴 Fine Day in Autumn |
伊東深水 | 大正~昭和47年 Taisho or Showa period, ca.1912-72 |
指(下図) The Wedding Ring |
伊東深水 | 大正11年頃 Taisho period, ca.1922 |
研究者にも存在が知られていなかった幻の作品。光ミュージアムでは初展示となる。 松園は1933(昭和8)年に高松宮家の新築御祝品として徳川家の依頼で『月と花』を制作した。左幅に月と紫式部、右幅に桜と伊勢大輔が描かれた双幅の作品だが、現在その所在は明らかではない。本作品はその紫式部に絵柄が似ており、何らかの関連があると考えられる。松園の絵には珍しい下ぶくれの顔は『源氏物語絵巻』などに見られる平安美人に倣ったためであろう。装束の柄も『紫式部日記絵詞』に描かれた紫式部のものと同じである。
祇園井特(18世紀末から19世紀初めにかけて京都で活躍した町絵師)の『美人図』から強い影響を受けているが、松園は井特のアクの強さを排除し、意地や張りのある芸妓に昇華させている。
手前の女性は、結綿という髪形をした結婚前の若い娘である。真ん中の女性は丸髷を結った既婚女性。奥の女性は髪型は判別できないが、眉毛を剃り落としているため子を持つ母であることがわかる。娘、若妻、母という三様の美人が花見を楽しむ姿である。