紀元前4000年頃、ナイル河畔の肥沃な大地に興ったエジプト文明は、およそ1000年後には統一国家としての体裁を整え、同時に独特な宗教観・死生観を確立しました。自然の恵みを受けて豊かな生活が保障されていた古代エジプトの人々は3000年もの長い間、独特な宗教観や造形美を持続させ、洗練された文化を育みました。
一方、アンデスでは紀元前2500年頃から各地で神殿の建設が始まり、次第に信仰を求心力として規模を拡大させていきました。各地の多様な自然環境を土台にさまざまな文化が栄枯盛衰し、3000年以上もの長期に渡り繁栄しました。15世紀には一地方民族集団だったインカ族がアンデス全域の統一に成功し、大帝国として繁栄しました。
本展では、同時期に遠く離れた地で栄え、現在に残る偉大な遺産を築いたエジプトとインカの文化を比較・紹介し、その魅力を探ります。