Spesial Exhibition

横山大観とその周辺展~近代日本画界の牽引者たち 平成25年2月27日(水)~6月4日(火)

横山大観「不二霊峰」

横山大観「不二霊峰」

展覧会詳細

主催
光記念館
後援
岐阜県、岐阜県教育委員会、高山市、高山市教育委員会、飛騨市、飛騨市教育委員会、下呂市、下呂市教育委員会、岐阜県博物館協会、(社)高山市文化協会、高山商工会議所、Hits FM
入場料
一般900(700)円、高大生・シルバー:700(500)円、小中生:300(200)円、未就学児無料 ※( )内は前売および20名以上の団体料金、シルバーは70歳以上
開館時間
午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
休館日
毎週水曜日(3/20・5/1は特別開館)
展示解説
毎週日曜日・祝日の午後2時~(約30分)

近代日本画界を牽引してきた画家たちの軌跡

 この特別展は光記念館の開館15年と横山大観の没後55年を記念して開催するものです。長らく所在不明であった初期の珍しい女性画『行く春』を始め、館所蔵品18点により大観の魅力に迫ります。 また、岡倉天心の指導のもとに日本美術院を創設した橋本雅邦、菱田春草、下村観山、天心亡き後の再興日本美術院で活躍した安田靫彦、前田青邨らの作品も一堂に展示致します。 明治維新による文明開化以降、新しい日本画の創造に励み、近代日本画界を牽引してきた画家たちの軌跡をご覧いただければ幸いです。

出品目録

作品名 作家名 年代
三保之不二山 View of Mount Fuji from Miho 横山大観 昭和28年頃 Showa period, ca.1953
蓬莱山 Mount Horai 横山大観 昭和14年頃 Showa period, ca.1939
乾坤燿く The Glory of Heaven and Earth 横山大観 昭和18年 Showa period, 1943
竹林 Bamboo Grove 横山大観 昭和29年頃 Showa period, ca.1954
秋の月 Autumn Moon 横山大観 明治33年頃 Meiji period, ca.1900
不盡山 Mount Fuji 横山大観 大正9年 Taisho period, 1920
海浜 Seashore 横山大観 明治36年 Meiji period, 1903
怒涛 Raging Billows 横山大観 明治34年頃 Meiji period, ca.1901
行く春 横山大観 明治33年 1900年
暮色 Twilight 横山大観 大正中期~昭和初期 Mid-Taisho or Early Showa period, ca.1919-35
月下の雁 Geese under the Moon 横山大観 大正2年頃 Taisho period, ca.1913
春光 Spring Light 横山大観 昭和10年頃 Showa period, ca.1935
暁暾 Sunrise 横山大観 昭和19年 Showa period, 1944
不二霊峰 Mount Fuji 横山大観 昭和11年頃 Showa period, ca.1936
不二霊峰 Sacred Mount Fuji 横山大観 昭和11年頃 Showa period, ca.1936
龍蛟躍四溟 横山大観 昭和11年頃 Showa period, ca.1936
書簡 横山大観 大正初期
秋色 横山大観 昭和18年頃 Showa period, ca.1943
嵐山 Ranzan 横山大観  
蘭(文人皿1) 横山大観  
郊靄 Suburb Haze 小川芋銭 昭和5年頃 Showa period, ca.1930
さつき 小川芋銭 大正5年頃 1916年頃
早春 Early Spring 堅山南風 昭和3~5年 Showa period, 1928-30
蝗(バッタ) Grasshopper 木村武山 明治33年頃 Meiji period, ca.1900
夕映 小林古径  
雪の大原 Ohara in Snow 小松均 平成元年 Heisei period, 1989
帰去辞来 下村観山  
武陵桃源 Wulingyuan, China 下村観山 明治22年頃~昭和5年 Meiji, Taisho or Showa period, ca.1889-1930
渓村晻靄図 橋本雅邦 明治
湖辺 Lakeside 菱田春草 明治35年 Meiji period, 1902
渡舟図 Ferryboat 菱田春草 明治33年頃 Meiji perido, ca.1900
武将 Warlord 前田青邨 昭和5年頃 Showa period, ca.1930
薄紅梅 前田青邨 大正12~15年頃 1923~26年頃
観音 Kannon 安田靫彦 大正14年頃 Taisho period, ca.1925
新雪 酒井三良  
樹間の朝 福王子 法林  
紅椿 奥村土牛  

作品紹介

「行く春」横山大観

横山大観行く春

大阪の旧家が所蔵し、その後長いこと所在不明だった作品。平家物語の祇王を描いたものと考えられる。祇王は白拍子の名手として名高く、平清盛の寵愛を受けて栄えるが、同じ白拍子の仏御前を清盛に取りもったところその座を奪われ、剃髪して出家することとなる。旧暦3月の出来事と言われる。

 

同時期に菱田春草が、秋に出家して祇王の後を追う仏御前を描いていることからも、桜の花びらが舞い散るこの絵はおそらく、仏門に入る決意を固めた祇王の姿を描いたものであろう。

「蓬莱山」横山大観
横山大観「蓬莱山」 昭和12年
 蓬莱山は中国の神仙思想で説かれる霊山のこと。渤海のはるか東にあり、仙人が住み、不死の薬があり、玉の宮殿があるとされる。古来より画家がしばしば取り上げたテーマである。岡倉天心から東洋哲学や東洋思想の重要性を教えられた大観も、幾度となくこれを描いている。
「海浜」横山大観
横山大観「蓬莱山」 昭和12年
 昭和30年代に駆使した朦朧体の技法がよく出ている。朦朧体とは、岡倉天心から「空気を描く工夫はないか」と言われた大観と菱田春草が、画面から輪郭線を廃し、湿った絵絹に色を置いて空刷毛で広げた没線描法のことをいう。当時日本では酷評され、全く売れなかった。
「武陵桃源」下村観山
横山大観「蓬莱山」 昭和12年
 武陵桃源とは、中国の詩人:陶淵明の散文『桃花源記』に出てくる仙境のことをいう。この絵は「晋の時代、武陵の人が桃花の咲く渓に迷い込み、光が洩れてくる洞穴を歩いて行って突然出くわした別世界。そこは秦の時代の乱を避けた人々の子孫が、世の中の変遷を知ることなく豊かに幸せに暮らす別天地だった。」という伝説の桃源郷を描いたもの。
「湖辺」菱田春草
菱田春草「湖辺」
 湖と空とに境目はなく、朦朧としている。大気を描こうとした大観や春草の絵が、否定的な意味で「朦朧体」と呼ばれるようになったのは明治33(1900)年頃からである。この頃の2人は「西洋画のように空気を描きたいならば油絵で描けばいい」などと非難され続けていた。

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