名所江戸百景とは、江戸時代後期の浮世絵師・歌川広重が安政3(1856)年から同5(1858)年にかけて描いた連作浮世絵で、最晩年の作品です。
何気ない江戸の風景でありながら、極端な遠近法や、俯瞰などを駆使した視点、また多岐にわたって取り入れたズームアップなど斬新な構図が多く、視覚的な面白さもさることながら、多版刷りの技術にも工夫が凝らしてあり、浮世絵としての完成度は随一といわれています。
また、実際に「大橋あたけの夕立」や「亀戸梅屋敷」を摸写したゴッホをはじめ、「ジャポニズム」の代表作として西洋の画家に多大な影響を与えたシリーズであり、本展ではその中より春の部42点をご覧頂きます。
没後150年、日仏交流150周年の記念すべき年に当たり、本展にて広重 名所江戸百景の魅力をご堪能頂ければ幸いでございます。